新卒社会人が感じたことを書くブログ

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【書評】イシューからはじめよ

学生時代に購入した本だったのですが、社会人になってから読み返してみるとまた違った感じ方をしました。東京大学マッキンゼーイエール大学、現在はYahoo!CSOという華々しい経歴の持ち主の安宅和人さんという方が書いた本です。また、ブロガーという側面もあり、ニューロサイエンスとマーケティングの間というブログを書いてらっしゃいます。


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■ 生産性を上げるためにはバリューのある仕事を

本書の8割はここです。生産性を上げるためには生産性とは何かをまず知らなくてはなりません。この本で言うところの生産性とはどれだけのインプットでどれだけのアウトプットを生み出せたかということです。数式で表すと以下のようなもの。

生産性 = アウトプット ÷ インプット = 成果 ÷ 投下した労力・時間

生産性を上げたいなら、同じアウトプットを生み出すための労力・時間を削り込まなければなりません。もしくは、同じ労力・時間でより多くのアウトプットを生み出さなければなりません。多くのアウトプットを、本書ではバリューのある仕事と定義しています。では、バリューのある仕事を生み出すためにはどうしたら良いのか。本書で述べられているエッセンスをご紹介します。


■ イシューからはじめよ

「イシュー度」と「解の質」がともに高いものがバリューのある仕事です。「イシュー度」を横軸、「解の質」を縦軸にして図であらわすと以下のようになります。

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多くの人はマトリクスの縦軸である「解の質」が仕事のバリューを決める、と考えています。そして、横軸である「イシュー度」つまり「課題の質」についてはあまり関心を持っていません。本当にバリューのある仕事をするには、「イシュー度」こそが大切になってきます。「イシュー度」の低い仕事はどんなにそれに対する「解の質」が高くとも、顧客から見た時の価値がゼロに等しくなってしまいます。

■ 努力と根性だけではいつまで経っても仕事は出来るようにはならない

マトリクスの横軸である「イシュー度」の低い問題にどれだけたくさん取り組んで必死に解を出したところで、最終的なバリューは上がらず、疲弊していくだけとなってしまいます。この努力と根性があれば報われるという闘い方では、いつまで経っても右上のバリューのある領域には届きません。本書では、一心不乱に大量のしごとをして右上に行こうとすることを犬の道と呼んでいます。労働時間なんてのはどうでもよく、価値のあるアウトプットを生み出せていればそれで良いのです。がむしゃらに働いてアウトプットが生み出せないのは最悪のパターン。根性こそが逃げなのです。

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いきなり分析や検証をはじめない

最初に大切なのは、分析や検証の活動をはじめないことです。最終的に同じイシューを検証するための分析であっても、それぞれには軽重があります。もっともバリューのあるサブイシューを見極め、そのための分析を行うことが大事になります。

集め過ぎない・知り過ぎない

イシュー特定のための作業は意図的にざっくりとやるのがコツです。つまり「やり過ぎない」ということです。情報収集の効率は、必ずどこかで頭打ちになり、情報がありすぎると知恵が出なくなります。これを「集め過ぎ」「知り過ぎ」と言います。その分野について何もかも知っている人は、新しい知恵を生み出すことが極めて困難になります。手持ちの知識でほとんどのことを乗り越えてしまえるからです。一流の科学者がその分野の権威となるようなレベルに達すると、若かった時のようには強烈なアイデアを生み出せなく鳴る、というのも同じ話です。「知りすぎたバカ」にならない範囲で情報収集を止めることが、イシュー特定に向けた情報集めの極意のひとつなのです。

やみくもに突っ走ってもいいことない

本書を一言でまとめると、こういうことだと思います。仕事の質を上げるためには「イシュー」を知ることが必要で、多くの人がこれには気付かないまま仕事を進めてしまいがちです。今一度立ち止まって、イシューに目を向けてみましょう。

僕のような社会人一年目には自信を持ってオススメしたい一冊です。

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